カリフォルニアワインの歴史
運命を変えた『パリスの審判』
今、カリフォルニアの地からは、世界的に評価の高いワインが次々と誕生しています。そのきっかけとなった大きな出来事が、1976年にパリで行われた『パリスの審判』でした。
これは、カリフォルニアワインと著名なフランスワインの赤と白を10本ずつ選び、ワインや料理の世界で著名な審査員がブラインドで試飲・審査するという試みで、誰もがフランスワインの勝利を予想していました。
ところが、ふたを開けてみると、赤・白ともにカリフォルニアワインがフランスワインに圧勝。これが『ニューヨークタイムズ』に大きく取り上げられ、カリフォルニアワインの品質の高さは世界の知るところとなりました。
カリフォルニアワインの文化を育む背景
ジョグワインからカルトワインへ、華麗なる変身
カリフォルニアでワイン造りが発達したのは19世紀半ばのこと。当時は、西部劇さながらのゴールド・ラッシュの時代で、この地で働く労働者たちのために「ジョグワイン」と呼ばれる大衆向けのワインが大量生産されるようになりました。
その後、ヨーロッパから新天地を求めた富裕層の人々が入植。ナパ・ヴァレー北部のカリストガに温泉を発見し、同時に、ここが高級ブドウの栽培に適した土地であることに気づきました。その後、ワイン造りへの夢と情熱を抱いた人々が次々と移住し、ナパ・ヴァレーは大きく発展したのです。その後、ワイン産地はソノマ・ヴァレーやセント・ヘレナなどへ拡大していきました。
そして時を経て、カリフォルニアは素晴らしいワイン生産地として世界的に認められるようになりました。
ナパ・ヴァレーはカルトワイン誕生の地
その後、ワイン造りの機運がますます高まったナパ・ヴァレーからは、名だたるカルトワインが続々と誕生しました。カルトワインとは1990年代にカリフォルニアで生まれた言葉で、高品質で少量生産、それゆえ、高価で入手しにくいスーパー・プレミアムワインを意味します。
当初は長期熟成に耐えうるカベルネ・ソーヴィニヨンを指しましたが、今では少量生産の高級ワインにも使われるようになりました。
ワイン造りを支える恵まれた環境
カリフォルニアからカルトワインが生まれる大きな理由は、生産者たちの情熱と多彩なテロワールにあります。彼らの探求心とたゆまぬ努力によって、上質のブドウが育てられているのです。
加えて、UCデイビス校やCIA(料理大学)などのアカデミックな機関、カスタム・クラッシュ・ワイナリーの醸造家が使用できる共同醸造所など充実した設備も彼らをサポートしています。この地からは、今後もカルトワインが多数誕生することでしょう。
※カスタム・クラッシュ……生産者がブドウを持ち込んで発酵や醸造を行える施設のこと。