ワインの澱とは?
皆様ワインを開けた時、こんな経験はありませんか?
① ワインコルクの裏にくっつくキラキラと光る結晶の様な物があった。
② 赤ワインをグラスに注いだら、ざらざらとした黒い物が出てきた。
どちらもワインの中で生まれる成分で「澱 (おり)」と言われております。ワインの味や香りに影響はありません。
① は、ブドウ果汁の酒石酸とミネラル成分のカリウムなどが結合した、酒石酸カリウムと呼ばれる結晶物です。「ワインのダイアモンド」や「ワインの中の雪」と表現されることもあり、無害なものです。
気にされる方もいるため、一般的な大量生産ワイン等では冷却処理法を施しています。方法は、ワインをマイナス1度以下に冷却し、酒石酸カリウムを沈殿させた後、フィルターにかけ除去しています。これを瓶詰しているのです。
②は、瓶底に溜まった黒いザラザラな澱で、赤ワインによく見られます。赤ワイン中のたんぱく質とポリフェノール類(タンニンやアントシアニンなど)が重合し(二つ以上の分子が結合すること)重くなり、瓶底に溜まったものです。ポリフェノール豊富な濃い赤ワインやビンテージものの古酒などに多く見られます。これも無害で健康に影響ありません。
最近の優秀なワインは無清澄、無濾過タイプが多く、澱を見る機会も少し増えているように思います。味が薄くなるなどの影響を醸造家が避けるため、冷却処理法や濾過をあえてしない傾向となってきています。そういったワインを飲む際は、最低でも2、3日前にボトルを立てておき、澱が下に沈んでから、ゆっくりとボトルを傾けグラスに注ぎましょう。
澱については知らない方も多く、特にワインを嗜み始めたばかりの方やあまり知らない方はワインから澱が出てくるとびっくりされることでしょう。実際にあった話ですが、知人からプレゼントされたワインをグラスに入れると、こんなに黒いザラザラする物体が出てきたと、私の友人夫婦から写真入りで連絡がきました。ワインはイタリアの2007年のビンテージもので、送った方もワインが詳しいわけではなく、デパートの店員さんに依頼し勧められたワインをプレゼントしたとのこと。勿論、友人夫妻には高級ワインで黒いものは澱、当然出てくるものであると説明すると安心されました。
ワインをプレゼントする際には、相手の方があまりワインに詳しくないようであれば、古いビンテージワインは避けたほうが良いかもしれませんね。